クッキーレス時代のターゲティング広告はどう変わるのか
2025年、インターネット広告業界は大きな転換期を迎えています。
その中心にあるのが「クッキーレス時代」の到来です。
特にGoogle Chromeが2025年内にサードパーティCookieのサポートを完全に終了することを受け、広告主・プラットフォーム・メディアは今、これまでの「Cookie依存型広告」から脱却し、新たなターゲティング手法への移行を迫られています。
本記事では、クッキーレス時代におけるターゲティング広告がどのように変わるのか、そして今後求められる戦略について解説します。
サードパーティCookieとは?
Cookieとは、ユーザーのブラウザに保存される小さなデータのことで、サイト訪問履歴や行動データを記録する目的で広く使われてきました。
中でも「サードパーティCookie」は、ユーザーが訪れているサイトとは異なるドメイン(=広告配信事業者など)が設定するCookieで、ユーザーのWeb行動をサイト横断的に追跡し、パーソナライズ広告に活用されています。
この仕組みが、プライバシー保護の観点から世界的に問題視され、Apple(Safari)やMozilla(Firefox)はすでにブロック。
Googleもこれに追従する形でChromeにおける段階的廃止を表明しました。
クッキーレス時代に使えなくなるもの
サードパーティCookieの廃止によって、従来可能だった以下のような広告施策が困難になります。
まず、Webサイトを横断してのユーザー行動追跡ができなくなります。
これにより、リターゲティング広告、つまりバナーでの再アプローチも難しくなるでしょう。
さらに、パーソナライズされた閲覧履歴ベースの広告表示や、オーディエンスリストを使った細かなセグメンテーションも厳しくなります。
つまり、今まで通りの“人を追いかける広告”は成立しなくなるのです。
新たなターゲティング広告の4つの方向性
クッキーレス時代でも、ターゲティング広告そのものが消えるわけではありません。
代わりに、次のような手法が今後の主軸となります。
①ファーストパーティデータの活用
自社で直接取得したデータ(例:会員情報、購入履歴、メールアドレスなど)を元にした広告施策が主流になります。
広告主はCRMやウェブアナリティクスツールを活用して、ユーザー理解を深め、そのデータをGoogleやMetaなどの広告プラットフォームと連携し、ターゲティングに活かします。
②コンテキストターゲティング
Cookieを使わず、ユーザーの閲覧しているページの内容(文脈)に応じて広告を表示する手法です。
たとえば、登山に関する記事を読んでいる人に登山用品の広告を出すといった、より「今この瞬間の関心」に即した配信が可能です。
③Google Topics APIなどの新技術
Googleは「プライバシーサンドボックス」という枠組みの中で、新たな代替技術を開発しています。
中でも注目されているのが「Topics API」。
これはユーザーのブラウザ内で閲覧履歴をもとに関心ジャンルを分類し(例:アウトドア、旅行など)、その一部の情報を広告主と共有する仕組みです。
個人を特定するのではなく、関心ジャンル単位でのターゲティングが可能になります。
④コンバージョンモデリングと機械学習
コンバージョン計測が困難になる中で、AIを活用した予測モデリングが重要に。
例えばGoogle広告では「拡張コンバージョン」や「同意モード」などを活用し、ユーザーがCookie同意をしていない場合でもコンバージョンをモデル化して算出する仕組みが導入されています。
広告主が今すぐ取り組むべきこと
クッキーレス時代を見据えて、今広告主が準備すべきことは明確です。
まず、自社サイトにおけるファーストパーティデータの収集体制を整えることが求められます。
ログインやメルマガ登録などを通じて、ユーザーから直接的なデータを蓄積することが重要です。
また、GoogleタグマネージャーやGA4を通じて、拡張コンバージョンの設定を行い、プライバシーに配慮したコンセント(同意)モードを導入することも必要です。
さらに、コンテキストターゲティングやカスタムセグメントのテストを実施し、新たな広告展開の可能性を探ることが求められます。
自動化・AI活用型キャンペーンの活用として、P-MAXやファインドキャンペーンなどを検討することも一案です。
まとめ:変化はチャンスになる
クッキーレスの世界では、テクノロジーによる「人を追いかける広告」から、「人の意図や文脈に合わせて寄り添う広告」への進化が求められます。
この転換を“脅威”ではなく“機会”と捉え、より透明性があり、ユーザーにとっても有益な広告体験を提供することが、これからの広告主の成功の鍵となるでしょう。
変化を恐れず、積極的に新しい手法を取り入れる姿勢が、広告主としての未来を切り開く力となります。
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